MRI検査とFUJIFILM この先の
医療と地球を考えて、
ゼロヘリウムMRI。

MRI検査

貴重な地球資源であるヘリウム。富士フイルムは、液体ヘリウムをまったく使わないゼロヘリウム超電導MRI技術を開発しました。それは、医療現場の課題を解決することを目指した次世代のMRI技術です。

◎MRI:磁石の力を使って、体内の臓器などを写し出す医療用の画像診断装置

医療テクノロジー

病院のMRI検査※1
実は、液体ヘリウムが
なくてはならない存在です。

医療機関に広く普及しているMRI(超電導型)は、搭載されている超電導磁石の特性上、マイナス269℃の超低温状態を保たないと体内の画像が撮影できません。その超電導磁石の冷却のために、冷媒として液体ヘリウムがとてもたくさん使われています。MRIの中の磁石本体の周囲には、お風呂約5杯分※2もの液体ヘリウムが満たされているのです。

※1:超電導MRIの場合

※2:従来型の超電導MRIでは一台あたり約1000~1500ℓ程度使用/お風呂一杯は約200ℓで換算

イメージ:冷媒として満たされる液体ヘリウム

ヘリウムは、
貴重な地球資源。
需要も高まり、
世界的に手に入りにくい。

ヘリウムは、地球上でわずかしかない貴重な資源です。空気中の0.005%しかなく、大気中から抽出することは難しいとされています。現在、液体へリウムは天然ガスの副産物として生産されていますが、産出国が世界8か国と大変少なく、また、半導体や光ファイバーなど他の産業や科学分野での需要も高まり、慢性的な供給不足が続いています。過去にヘリウムの風船が製造自粛になったことがありますが、それは、世界的なヘリウム不足の影響でした。

今、世界では持続可能なMRI検査のために、液体ヘリウムをなるべく使わない超電導MRIが求められています。

グラフ:世界の液体ヘリウムの需要と供給/ヘリウム用途別消費量

※3・4:SDKI Analytics.「Global Helium Market 2018-2037」を基に作成

病院のMRI導入のために

従来のMRI※5は、ヘリウムの排気設備が必要でした。液体ヘリウムの補充も必要でした。

少し専門的なお話になりますが、
MRIは強い磁場を発生させるので検査室に金属類を持ち込むことができません。万一、持ち込まれた金属がMRIに吸着した時は、緊急停止の措置をとります。その際、従来のMRIでは、液体ヘリウムを気化させて屋外に排気、磁石の温度を上げて停止させます。そのためにヘリウム専用の大規模な排気管設備が必要でした。また、排気したヘリウム相当分の液体ヘリウム補充作業のために、一定期間、病院のMRI検査を止めることも必要でした。もし、液体ヘリウムを使わなくていいMRIがあれば、そういった制約も解消されるのです。

※5:超電導MRIの場合

説明図:一般的なMRIとゼロヘリウムMRIの設備

ついに、
ゼロヘリウムMRIを開発。
医療と地球を考えて、
液体ヘリウムを
一切使わないこと。

富士フイルムは、液体ヘリウムをまったく使わない、ゼロヘリウム超電導MRI技術を開発しました。磁石の冷却方法など様々な改良を重ね、液体へリウムを使うことにより生じていた課題の多くを、解決。

貴重な地球資源であるヘリウムを使わなくていい。供給が追いつかず調達が難しい液体ヘリウムを使わなくていい。ヘリウムの大規模な排気管も設置しなくていい。また、金属類の吸着事故後の液体ヘリウム補充のために、病院のMRI検査を止めなくていい。

この先の医療と地球を考えた、次世代のMRI技術が、ここに誕生したのです。

イメージ:この先の医療と地球を考えた、次世代のMRI技術

ゼロヘリウムMRIなら、
設置場所の
自由度も高まる。

ゼロヘリウムMRIは、設置場所の制約が少なくなるのもメリットです。液体ヘリウムは輸送に厳しい規制がある資源であり、また、安定的に届けるため地域の供給基地や、病院内に大がかりな排気管設備も必要でした。そのため届けられる地域が先進国や都市部に限られる傾向があり、MRI普及の制約となっていました。

でも、それらがすべて不要になるゼロヘリウムMRI。

これからは、都市部の大きな病院だけでなく、いままで以上に、島しょ部や遠隔地の病院、発展途上国の病院にもMRIが設置しやすくなる。そんな時代が来たのです。

イメージ:遠隔地・島しょ部・発展途上国の病院にも、MRIを。

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