従来の2D顔認証は
セキュリティに課題があった。
顔認証システムは、スマホなど今やあらゆる場所で使われる身近なものとなりました。
しかし従来の2Dで捉える顔認証は、暗闇での顔認証が難しいほか、写真でも認証できる可能性がありました。
不便というだけではなく、スマホに集約される多くの個人情報を守るという意味でも課題があったのです。
顔を立体的に捉える
赤外線センサーの時代へ。
しかし、新たな課題が。
2D顔認証の課題もあり、顔認証をはじめセンシング技術の分野では赤外線の活用が徐々に広がってきました。赤外線は、対象物を立体的に捉えることができ、また、明るさの影響を受けないので真っ暗な場所でも計測できます。
顔認証の場合、スマホから照射された赤外線は瞬時に顔に反射してスマホのセンサーに戻ります。その時、顔の凹凸から生じるわずかな距離の差を計測して、顔を立体的に捉えるのが3D顔認証です。
しかし、その赤外線センサーにも課題がなかったわけではありません。
スマホの3D顔認証の普及に、
大きな役割を果たした
富士フイルムの半導体材料。
従来の赤外線センサーは精度が低く、特に、赤外線の波長に応じた正確な検知が難しかったのです。
近年、高精度の赤外線センサーが実用化されました。そして、スマホの3D顔認証がみなさんの日常生活にどんどん広がっています。
その陰には、富士フイルムの半導体材料技術の存在がありました。
赤外線の計測にとって
センサー内の乱反射が障害だった。
そこで「特殊遮光レジスト」を開発。
従来の赤外線センサーの精度が低かった大きな原因は、センサーの中で起こる赤外線の乱反射でした。
計測すべき赤外線がさまざまな方向に反射してしまい、センサーが赤外線を正確に捉えることを邪魔していたのです。
そこで富士フイルムは、光を波長ごとに吸収できる半導体材料を開発。
その中でも「特殊遮光レジスト」は、光の一種である赤外線を捉え、センサー内で余計な乱反射を起こしていた赤外線を吸収することに成功。
これにより、さらに精度の高い赤外線センサーが実現したのです※。
※当社の特殊遮光レジストは、多くの顔認証センサーに採用されています
解説!
計測を邪魔する赤外線を吸収、
赤外線センサーが高性能に!
※赤外線波長940nmの場合
もっと知りたいスーパー・ナノテクノロジー
ナノの世界で、精密さを追い求めて。
特殊遮光レジストは、赤外線センサーの周辺部に塗られています。
もし、レジストの主成分である顔料のナノ粒子が、さまざまな大きさだったり、均一に混ざっていなかったりすると、塗布された際にわずかなムラができてしまい、それが原因となって赤外線をきちんと遮光できません。そのムラをできる限り少ない状態で生産することが求められます。しかし、これが、世界的に難しい課題でした。
この特殊遮光レジストは、多くの素材候補の中から特に遮光性能が高い顔料を選定しましたが、この顔料がなかなか混ざりにくく均一に分散しない性質のものでした。
研究を続けた結果、私たち富士フイルムは「顔料のナノ粒子を、一粒一粒コーティングする技術」を開発しました。粒子同士がくっつかず、均一に分散するようにしたのです。これにより赤外線がしっかり遮光でき、赤外線センサーの精度が飛躍的に高まったのです。
精度の高い顔認証なら、
たとえ暗闇でもあなたとわかる。
赤外線センサーの精度が飛躍的に高められたことで、スマホの3D顔認証は急速に広がり、今では当たり前になりました。
3D顔認証は赤外線の反射スピードを利用して、物体を立体的に計測するため、たとえ真っ暗闇の中でも、たとえ派手なフェイスペイントを施していても、あなたの顔を見分けることが可能です。
これが、3D顔認証!
富士フイルムの半導体材料が支えています
運転支援システムにも。
あらゆる場所の半導体技術を、
富士フイルムは支えています。
赤外線を使ったセンシング技術は、スマホの顔認証システムだけでなく様々な用途へとその分野を広げています。
代表的なうちのひとつが、クルマの運転支援システムです。
夜間の走行でも、車載カメラで障害物を認識する。
運転手の居眠りも、ドライバーモニターで検知する。
セキュリティの安全だけではなく、命の安全も守るために。
あらゆるセンサーに使われる半導体技術を、半導体材料で静かにしっかりと支えている富士フイルムです。